2017年1月15日日曜日

一篇の詩

戦争の女を描いた長編小説に勝るような、現代詩人による一偏の詩がある。
もしかして、美の世界にも表裏が、その因果偏界でひとつになって現われるのではないかと思われた。

「崖」

戦争の終わり。
サイパン島の崖の上から
つぎつぎに身を投げた女たち。

美徳やら義理やら体裁やら
何やら。
火だの男だのに追い詰められて。

とばなければならないからとびこんだ。
ゆき場のないゆき場。
(崖はいつも女をまっさかさまにする)

それがね
まだ一人も海にとどかないのだ。
十五年もたつというのに
どうしたんだろう。
あの、
女。

石垣りん 詩集より

創造することが罪なのならば、人生は悲しみそのものであるようだ。
楽しい絶頂の時にあっても、人はこんなに幸せでいいのだろうかという不安がよぎる。
神など信じてはいないが、明日は初詣に行って・・・何か、祈るのだ。


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