2016年8月2日火曜日

ささやかなつながり

自分のような者が芸術を通じて出会い語り合える人たちがいることの幸せを感じた日であった。
先日の展覧会で出会った方の「お屋敷?」へピアノ調律師の友人と訪問した。そこには、やはり展覧会でその時に同席した日本画家の先生も来ていた。
このような縁でもなければ訪問もかなわないであろう、1000坪の土地に坪500万の200坪の邸宅である。離れには茶室もあるという贅沢な純和風建築だ。
だから、どうだということでもない。どうだ凄いだろ!というのはそこにある美術品の数々を拝見させてもらっているときに説明するご主人の自慢である。しかし、何百万もする李朝の壺だの初代柿右衛門の云々だのを直に手にとって愛でることが出来たのは幸せの限りであった。それと、日本画の先生の水墨画の作品が趣味良く各部屋に展示されていた。
ご主人と自分が語り合いながら観ていると先生も来て、水墨の話になった。わたしは水墨画の何が分かっているわけでもなく、ただ自分の思うがままを語ったのだが、先生は、そうだそうだとうなずきながら話を聞いてくださった。現代には本当に水墨が分かる人が少ない、水墨は私を裏切らない。つまり自由がそこにあるというようなことを言っていたと思う。言葉を呑みこむように話す83歳の画家に初めて身近に本物を見た気がした。
調律師の友人は奥様に案内され、離れに置いてある調律不能と言われているリストが愛用していたというピアノを観に行ったままである。おおよそ二時間があっという間に過ぎ、みなさんお茶にしませんかということで居間でフルーツやお菓子などごちそうに成りながら、さらに一時間。なぜか会話の中心がこの度の展覧会での奇妙な出会いのことであった。
きっかけは、展覧会でわたしの水墨にここのご主人が興味を持ったことに始まった。たまたまその日に自分が展覧会場にいたことから繋がったことである。
日本画の先生が「由さんとこのように出会え話が出来て本当によかった、このような縁はめったにない」と、こちらこそ、そう思っていたからなんだか照れ恥ずかしく、なんとも返す言葉もなく頭を深く下げた。
10月にパサディナ美術館で個展を予定しているというので楽しみである。
最後に先生が「あなたは今のような絵が描けるようになって幸せだね・・」とちょっと気になる妙なことを言われた。




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